早期離職を防ぐ内定者0年次®育成のすすめ~入社前にマインドを切り替える手を打とう~(第2回)
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【第2回】内定ブルーを解消するために

社会人になることへの漠然とした不安を抱え“内定ブルー”に
現代の学生は、自分の決断に自信を持てず、複数社の内定を得てもなお「本当にこの会社でいいのか」と就職活動を継続するといわれています。さらに、内定承諾後も入社への期待よりも社会人になることへの漠然とした不安が強くなり、“内定ブルー”という状態に陥ります。
キャリタス就活の「調査データで見る『入社に向けた内定者フォロー』-2024年卒調査-」(2024年8月発行)によると、内定期間中に何かしらの不安を感じたことがある学生は93.5%にも上ります。
キャリアリサーチLabの「2025年卒大学生活動実態調査(6月15日)」(2024年6月21日公開)の調査では、就職活動を終了する(している)学生は「漫然と社会人になることが不安」(45.7%)、「他の内々定者となじめるかどうか不安」(34.9%)といった不安を抱えています。このような状態をそのままにしておくと、内定承諾後の辞退につながるだけでなく、入社後にギャップを感じると早期離職にも発展します。
そのため、入社前に内定者のマインドセットを行う「0年次®育成」が注目されています。
内定者が不安を感じる2つの要因とは
そもそも内定者が入社前に不安を感じる要因は、大きく2つあります。
1つ目は、内定者にとって社会人生活が“未知のものである”ということです。例えば「自分は社会人として通用するのか」「入社後どのような困難が待っているのか」といったことが具体的に想像できず、事前に対策しておくべきことも分からないため不安感を抱きます。
2つ目は、これまで学生生活を共に過ごしてきた友人や、幼い頃から見守ってくれた保護者から離れ、初めて自立して新たな世界に飛び込むという環境の変化に対し、不安感を抱きます。
では内定ブルーを乗り越え、内定者に前向きな気持ちで社会人生活をスタートしてもらうためには、具体的にどのような策を講じる必要があるのでしょうか。
“内定ブルー”を自身で乗り越えさせる方法
「仕事内容」や「人間関係」など、不安を感じる点は人それぞれ異なるため、内定者の不安をゼロにすることは困難です。しかし、内定者自身に「自分は何に対して不安を感じているのか」を理解させ、「その不安はどうすれば解消できるのか」気付かせることで、内定者が不安を抱いたとしても、その不安を自分自身で解決しやすくなり、“内定ブルー”を乗り越えられるようになります。今回はそのために有効な2つの方法をご紹介します。
【不安解消法1】入社後の「3つの壁」を乗り越える思考法を学ぶ
まず、新入社員が一般的によくぶつかる壁や、その会社でよくある最初の壁など、社会の厳しさを入社前にシミュレーションし、その壁に対して、自分だったらどう乗り越えるか事前準備しておくことで内定者の不安は軽減されます。よくある入社後の3つの壁は、「仕事の壁」「やりがいの壁」「環境の壁」です。
1つ目の「仕事の壁」とは、「思っていた仕事と違う」「やりたい仕事と違う」といったギャップから生まれます。特に、理系職種の内定者は、学生時代の研究の延長のつもりで入社した結果、開発研究よりも工場など現場での仕事が多いなど、業務範囲の幅広さに戸惑うことも少なくありません。そのため、学生時代の「個別最適」の考え方を、社会人の「全体最適」の考え方に切り替える必要があることを入社前に理解させます。それにより、入社後ギャップを減らせます。また、このような壁に直面した際には、「これまで見えていなかった可能性やチャンスが広がった」「より社会に役立つ経験を積む機会だ」と前向きかつ柔軟に受け止める思考法を教えることも重要です。
2つ目の「やりがいの壁」は、入社したての1 ~ 2年目に、「なかなか自立できない」「役に立てている実感がない」「活躍できている気がしない」と感じ、ぶつかるケースが多くみられます。
しかし、逆に言えば、入社後すぐに若手が活躍できる職場というのは、難易度があまり高くない仕事であるとも考えられます。そのため、やりがいの壁に対しては、自分は簡単な仕事がしたいのか、難易度の高い仕事に挑戦しようとしているのかを考えさせることが重要です。そして、知識や技術の習得に時間をかけた分、着実に力をつけ、活躍できるようになった時には、より大きなやりがいや達成感を得られるという、ポジティブな未来を想像させることも大切です。
3つ目の壁は「環境の壁」です。昨今は安定志向の学生が多く、生活拠点を変えたくないという思いから、転勤や異動は敬遠されがちです。そのため、自身の視野や人脈の広がりなど、環境変化がもたらすプラスの面を伝え、業務都合の環境変化をメリットとして捉える思考法を伝えることが重要です。
このように、入社後に訪れる壁と、壁を乗り越えるための思考法を入社前に学んでおくことで、入社後の“未知”の部分が減り、内定者の不安を軽減できます。
【不安解消法2】内定者交流会で横のつながりを持たせる
また、内定者は1人で新たな環境に飛び込むことに不安を感じるので、同じ不安や悩みを抱えている仲間がいると気付かせるだけでも安心できます。そのため、内定者には内定者期間中の早い段階で同期との交流の場を設け、今感じている不安を共有させることにより、「不安なのは自分だけではない」「何かあったら助け合える仲間がいる」と気付かせることが重要です。
内定者が入社後の壁を乗り越えられるようサポート
内定の後、次に社員や同期と会うのは「内定式」という企業も少なくありません。しかし“内定ブルー”は、内定承諾の時点で起こりうるため、「内定式」や「新入社員研修」で手を打っても遅いのです。
実際、(株)マイナビの「マイナビ2024年卒学生就職モニター調査7月の活動状況」(2023年8月公開)をもとに、弊社で作成したデータによると,内定者の約83%が内定先の企業に対し、内定者フォローや研修を希望しています。
また、就職活動の早期化が進み、内定から入社までの期間は年々長くなっています。この期間に内定者に対するフォローを行わなければ,最初は小さな不安であったとしても,内定者はその不安を反芻し、次第に増大させていきます。
さらに、社員の口コミサイトなどを見て、新たな不安の種を増やしてしまう内定者もいます。これらの不安に正しく対処しなければ、“内定ブルー”に陥ります。新入社員の育成は、入社後からではなく、入社前の“0年次®”から始まっているのです。
次回は、「学生と社会人の違いを理解してもらうには」というテーマで、学生気分ではなく社会人としての前向きなマインドで入社してもらう方法をお伝えします。

— この記事の著者
シーズアンドグロース 代表取締役 河本英之
上智大学卒業後、(株)リンクアンドモチベーション入社。その後、2010年に独立しシーズアンドグロース(株)を設立。「人の可能性を信じるという」理念を掲げ、独自かつフルオーダーメイドのサービスで、大手から中堅・中小企業まで幅広い企業の新卒採用・人材育成を支援する。企業と学生のミスマッチ防止イベント「カレッジ型イベント(R)」では講師を務め、年間5,000人以上の就活生の決断に影響を与える。その他、経営者・人事担当者向けセミナー講師としての登壇、書籍の執筆なども行う
【出典元】
本記事は『月刊 人事マネジメント』25年10月号に掲載されたものです(転載許諾済)。
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