「企業規模が小さくても大手に勝てる」新卒採用の新常識――志向性の言語化・裏のCX設計・メディアミックス戦略まで徹底解説

    • 採用計画・戦略

「自社は中小企業だから、新卒採用で大手に勝てるはずがない」

「知名度がないから、優秀な学生からのエントリーが集まらない」

「大手のように初任給や福利厚生を充実させられないから、母集団が集まらない」

新卒採用市場において、こうした諦めに似たお悩みを抱える経営者様や採用担当者様は後を絶ちません。売り手市場の加速や選考の早期化が進み、採用の難易度は年々上がっています。その一方で、社内では採用部門が「コストセンター」と見られがちで、限られた時間と予算の中で、どう成果を出せばいいのか分からず苦しんでいる担当者の方が多いです。

しかし、新卒採用の第一人者として、20年以上新卒採用に携わってきた立場から、はっきりとお伝えしたい事実があります。

新卒採用において、企業規模や知名度は決定的な差になりません。

企業の規模が小さくても、知名度が低くても、“戦い方”次第で大手に競り勝つことは十分に可能です。本記事では、弊社がこれまで数多くの企業の採用変革を成功させてきたノウハウをもとに、読者である皆様に「採用の本質」と「大手に勝ち切るための実践戦略」をお届けします。

「企業規模=学生の志望度」という根強い誤解と、大手志向の正体

「就活生=安定した大手企業を志向している」と思い込んでいませんか?

弊社が実施した調査によると、実は学生は、企業規模をそこまで気にしていないことが分かっています。

では、なぜ多くの学生が大手企業に集まるのでしょうか。

ここに、採用担当者が知っておくべき最初の大きな気づきがあります。学生が大手を選ぶのは、大手に行きたいからではなく、「選び方の基準を持っていないため、リスク回避として大手を選んでいるだけ」なのです。

就活を始めたばかりの学生は、世の中にどんな企業があり、自分がどう働くべきかの判断軸を持っていません。結果として、ナビサイトの表示順や有名だからという消極的な理由で大手を選んでいます。

つまり、「企業規模が小さいから大手には勝てない」のではなく、企業側が「自社で働く意味を提示できていないから勝てない」だけに過ぎません。

大手企業と同じ「安心感」や「知名度」で勝負するのを今すぐやめましょう。自社で働く意味と独自の魅力を正しく定義し、届ける設計さえできれば、学生は大手という安全牌を手放し、貴社を真剣な選択肢として選ぶようになります。

求める人物像の言語化:「能力」ではなく「志向性」を定義する

採用戦略を構築する上で、すべての出発点となるのが「自社の求める人物像の言語化」です。

皆さんは今、自社が本当に求める人物像を、明確に言葉にして書き出すことができますか?

もし「漠然としたイメージしかない」「採用基準が面接官によってバラバラだ」という場合は、まずターゲットの言語化から始めなければなりません。

そして、ここで多くの企業が陥る最大の落とし穴があります。それは、求める人物像を定義する際に、学生に求める「能力」ばかりを書いてしまうことです。

「能力」と「志向性」の明確な違い

求める人物像を定義する際に最も重要な原則は、「能力」ではなく「志向性(マインド・価値観)」を言語化することです。

  • 能力の例: コミュニケーション能力、問題解決力、リーダーシップ、企画立案力
  • 志向性の例: 目標の達成に強くやりがいを感じる、自身のスキルを高め続けることに関心が強い、変化を面白がれる

なぜ「能力」ではなく「志向性」を言語化しなければならないのでしょうか。理由は大きく3つあります。

①能力は後天的に育成が可能だが、志向性の育成は困難

「能力」は、入社後の研修や実務経験によって向上させることができます。一方、「志向性」は個々人の価値観やパーソナリティに強く起因するため、短期間で直接教えることが極めて難しく、入口(採用段階)で見極める必要があります。

②就活生のイメージのしやすさ(ミスマッチ防止)

例えば「コミュニケーション能力がある人」を募集要項に掲げると、会話がスムーズにできる人なのか、聞き上手なのか、具体的にどのような場面で発揮してほしいのかが不明瞭です。対して志向性は「価値観」であるため、就活生自身もマッチしているかどうかをイメージしやすく、双方のミスマッチを防ぐことができます。

③自信の有無が関係しない

「コミュニケーション“能力”が高い人」とした場合、心から「自分は能力が高い」と自信を持っている学生はごくわずかです。対して「目標の達成に強くやりがいを感じる」といった志向性は、学生自身のスキルの自信の有無に関係しません。「自分にはハードルが高い」とエントリーを躊躇させることがなく、自社に合うはずの原石を取りこぼすのを避けることができます。

ハイパフォーマー分析で作る「志向性」言語化の実践ステップ

では、具体的にどのようにして自社に必要な「志向性」を抽出し、言語化していけばよいのでしょうか。おすすめの手法を2つのパターンに分けてご紹介します。

パターンA:既存事業で活躍する社員(ハイパフォーマー)から抽出する

最も確実で再現性が高いのは、現在自社で高い成果を出しているハイパフォーマー複数名にインタビューを行い、彼らに共通する志向性を洗い出す手法です。

なぜこの仕事に一番のやりがいを感じるのか?

壁にぶつかった時、どのようなモチベーションや考え方で乗り越えたか?

どのような価値観を持って日々の業務に取り組んでいるか?

これらを定性的にヒアリングし、共通項を構造化していきます。これにより、自社で実際に活躍できる人材の核(志向性)が鮮明に浮かび上がります。

パターンB:新しいタイプの人材(挑戦人材・革新人材)を獲得したい場合

事業拡大に伴い、既存社員にはない変革型人材を採りたいという場合は、次の2ステップでアプローチします。

①経営戦略策定者(経営陣や事業責任者)へのヒアリング

今後の経営戦略・事業計画を達成するために、どんな壁を突破できる人材が必要かをヒアリングします。

②未来に必要な共通志向性の抽出

経営陣のビジョンから共通する志向性を洗い出し、既存社員の傾向と比較しながら言葉におこします。

選考を「評価の場」から「自己理解体験」へ昇華させるCXとコミュニケーションマップ®

求める人物像(志向性)が言語化できたら、次に行うべきは選考プロセス全体の戦略設計です。ここで絶対に知っておくべき概念が、弊社が提唱する「採用コミュニケーションマップ®」と「CX(Candidate Experience:候補者体験)」です。

採用コミュニケーションマップ®とは?

マーケティングにおける「カスタマージャーニーマップ」を採用に応用した設計図のことです。

採用活動における「顧客」は「求職学生」です。選考フローのどのタイミングで・何を・どのくらいの温度感で伝えるべきかを一覧化・可視化することで、面接官ごとのアクションのムラをなくし、担当社員の意識統一とタスクの明確化を図ります。

本質的なCX(候補者体験)とは「おもてなし」ではない

近年重視されるCXですが、多くの企業が「迅速な連絡」や「手厚いフォロー動画の送付」といった単なる丁寧なおもてなしだと勘違いしています。

本質的なCXとは、選考を通じて、学生自身も気づいていなかった自身の強みや志向性を、企業(面接官)と一緒に発見・深掘りしていく自己理解体験そのものです。

面接を「企業が学生を品定めして評価するテストの場」から、「学生のキャリアを共に真剣に考えるキャリアカウンセリングの場」へと変えること。面接官が親身に学生のパーソナリティを解き明かしてくれた体験(CX)を提供できた時、学生にとってその企業は、知名度を超えた、唯一無二のパートナーへと変わります。

弊社の調査によると、選考期間中にその企業への志望度が大きく変化した学生は全体の約4割に上ります。

「最初は知名度に惹かれて大手を受けていたが、面接での対話体験(CX)が圧倒的に素晴らしかったため、この会社に入りたいと思った」という逆転劇は日常茶飯事です。だからこそ、コミュニケーションマップを用いて一連の選考体験を戦略的に設計・実行・検証していくことが不可欠なのです。

 母集団形成の勝率を跳ね上げる「メディアミックス戦略」

売り手市場が加速する昨今、多くの企業が大手ナビサイトや高額なスカウトサービスに依存し、採用単価が高騰し続ける負のループに陥っています。この悪循環を断ち切るために不可欠なのが「メディアミックス」という視点です。

メディアミックス戦略とは?

複数の異なるメディア(媒体や手法)を戦略的に組み合わせて活用することです。求職学生の認知から志望度形成へのブリッジを架けるために、大手サイトだけでなくSNS(Instagram、TikTok、X)、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用などを、求める志向性に合わせて最適に配分します。

人材系企業への「媒体相談」に潜む構造的リスク

ここで、採用担当者の皆様に1点、お伝えしたいことがあります。

それは、特定の採用媒体を販売している人材系企業に「どのメディアを使うべきか」を相談するのはおすすめしないということです。

自社媒体や代理店権を持つ企業に相談すると、構造上どうしても、その会社が売りたい・扱っているサービスを中心とした提案になりがちです。それが貴社にとって最適である保証はありません。

だからこそ、特定の媒体枠の販売に縛られず、第三者視点でフラットに最適解を提示できるパートナーが不可欠です。私たちシーズアンドグロースのように、あらゆる手法をニュートラルに見極め、貴社の「求める志向性」にだけフォーカスして最適な組み合わせを提案できる存在こそが、採用活動の勝率を大きく左右します。

自社の「泥臭さ」や「未完成さ」こそが、大手に勝つ最強のコンテンツになる

大手企業のように豪華な初任給や福利厚生がないから、アピールできる魅力がないと諦めていませんか?

しかし、貴社が存続しているということは、お客様から選ばれ続けているということです。

お客様から選ばれ続けている以上、大手に勝り、他社と差別化できる魅力は必ずあります。

中小企業が弱みだと感じがちな「制度が未完成」「一人当たりの業務の幅の広さ」「泥臭さ」は、見方を変えれば、学生にとって「自分たちの手で組織や事業を創り上げる『余白』がある」「若手のうちから圧倒的な裁量権を持って挑戦できる」という、大手にはない最大のベネフィットへと直結します。これこそが、成長意欲の高い就活生の志向性を激しく刺激する最強のフックになるのです。

自社の「未完成さ」を隠して大手のように取り繕うのではなく、特定の志向性を持つ人材を引き寄せるためのフィルターとして正しく開示する覚悟を持つこと。これこそが他社との決定的な差別化を生み、入社後の早期離職やミスマッチを劇的に減らす勝因となります。

採用は「戦略とストーリー」で大手に勝てる

新卒採用とは、単なる「人員の補充」ではありません。自社の持続的な成長のために、ビジョンに共鳴するファンを作り出す、極めて戦略的な経営活動です。

新卒採用は、戦略的にどんなストーリーを学生に伝えていくのか、全体設計を行うことが何より重要になります。

これまで採用部門は「予算を消費するコストセンター」と見なされ、限られたリソースの中で成果を求められるプレッシャーにさらされてきました。しかし、自社の求める志向性を定義し、本質的な選考体験(CX)とストーリーを組み立てていくことで、採用は単なるコストセンターから、事業を前進させる優秀な原石を引き寄せ、未来の企業成長を牽引する「価値創造部門(プロフィットセンター)」へと進化させることができます。

限られた時間と予算の中でいかに効率よく、そして確実に事業を伸ばす人材を獲得するか——その答えが、本記事でお伝えしてきた本質的な採用戦略の実践なのです。

シーズアンドグロースが提供する「フルオーダーメイド」の採用支援

シーズアンドグロースでは、こうした悩みを抱える企業の経営者様・採用担当者様に対し、求める人物像(戦略策定)の言語化から、媒体に縛られない母集団形成、コミュニケーションマップによるコンテンツ作成、そして育成に至るまで、一気通貫・フルオーダーメイドでのご支援を提供しています。

また、採用して終わりではなく、その後の活躍・定着に向けた研修・人事制度設計までトータルで伴走いたします。

「自社の魅力をどう打ち出せばいいか分からない」「大手と競合して内定辞退が増えている」「採用戦略を根本から見直したい」とお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社にしかできない「大手に勝ち切る採用の勝利パターン」を、私たちが共に作り上げます。

【お問い合わせ・ご相談はこちら】

シーズアンドグロース株式会社(SAG)では、貴社の採用課題に合わせた個別の無料相談・ウェビナーを随時実施しております。お気軽にお問い合わせください。

— この記事の著者

河本 英之(かわもと ひでゆき)

シーズアンドグロース株式会社

代表取締役/組織人事コンサルタント

           

1981年広島県生まれ。高校中退後、大検を取得し2001年に上智大学経済学部に入学、2005年卒業。新卒で株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、採用戦略や組織人事領域に従事。企業規模を問わず500社以上の採用・育成コンサルティングを担当し、社内MVPを獲得。

2010年7月、シーズアンドグロース株式会社を設立し、代表取締役に就任。「人の可能性を信じる」を掲げ、これまで16業界・600社以上の新卒採用・人材育成変革を支援。マイナビEXPOでの講演講師を務めるほか、メディア等でも多数の執筆を行っている。著書に『新卒採用の常識を変える カレッジ型イベント』(金風舎)など。

◆会社概要

社名:シーズアンドグロース株式会社

設立:2010年7月23日
代表者:河本 英之
所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-4-2 J.NODE日本橋堀留町3階
事業内容:組織人事コンサルティング/採用支援事業
Webサイト:https://seeds-and-growth.co.jp/

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