2018. 07/17
企業が心掛ける新卒採用説明会の注意点
超売手市場と言われ、各社が新卒採用に力を入れている近年、
新卒採用説明会の内容にこだわる企業が増えています。
「2017年度 キャリタス就活 学生モニター調査結果」によれば、
学生1人あたりの平均参加社数は33.6社であり、
学生が複数企業の説明会に参加して比較検討することを考えれば当然の流れと言えます。
https://www.disc.co.jp/uploads/2016/04/17monitori201604.pdf
しかし、説明会を効果的にする方法はあまり世の中で語られていないのではないでしょうか。
例年、新卒採用説明会にお立会いしたり、説明会スライドを拝見したりしますが、
どの企業もあまり差がないのが正直な感想です。
そこで今回の記事では、毎年数十社の説明会を拝見しているシーズアンドグロースが考える
新卒採用説明会の注意点をお伝えします。
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NGな説明会とは
説明会は、企業にとって学生と出会える貴重な機会となります。
学生との初期接点になることも多く、企業を印象付ける絶好のチャンスといえます。
一方で、他社との違いが不明確な説明会になってしまう恐れもあります。
他社との違いが不明確なNGな説明会のポイントは以下の3点です。
1. 一方的に話をされるのみで、学生が退屈してしまう
2. 専門用語や前提知識についての説明がなく、学生の理解が追い付かない
3. 伝えたい内容が多すぎて、結局どんな企業だったか印象に残らない
上記のような説明会では、企業の第一印象が良くないものとなり、
結果として、当然選考に進んでもらいにくくなります。
このような状態に陥っている説明会を、
シーズアンドグロースでは「北風アプローチ」の説明会と呼んでいます。
「北風アプローチ」の説明会
説明会には、大きく分けて2つのアプローチ方法があります。
それは「北風アプローチ」と「太陽アプローチ」です。
「北風と太陽」という童話をご存知でしょうか。
旅人の上着を脱がせるために北風と太陽が勝負をしますが、北風が旅人に強い風を当てると、旅人は寒さからさらに上着を着こんでしまいます。
一方、太陽がゆっくりとぽかぽかとした日を照らすと旅人は汗ばみ、心地よくなって川辺で休憩します。
すると、太陽がここぞとばかりに強く日を照らすと、暑さを我慢できなくなった旅人は、ついに上着を脱いで川に飛び込みました。
この童話から呼び名を取ったのが「北風アプローチ」と「太陽アプローチ」です。
「北風アプローチ」の説明会は、前述したNGな説明会の3つの状態を生みやすいです。
そして、我々が様々な企業で拝見する一般的な説明会が、この「北風アプローチ」です。
では「北風アプローチ」の説明会とは具体的にどのようなものでしょうか。
<北風アプローチの説明会例>
■説明会形式
⇒基本的には講義形式
■説明会の流れ
1.会社概要
2.企業理念
3.事業内容
4.仕事内容
5.人的魅力(先輩社員の声など)
6.制度待遇(給与体系や研修制度など)
<メリット>
・大枠からの説明になっているため理解しやすい
・網羅的な説明になっているため不満は生みにくい
<デメリット>
・一方的な講義形式になってしまっているため、企業情報の表面的な理解で終わってしまう可能性がある
・説明会に参加しなくてもHPなどで得られる情報に留まりがち
・不満は生みにくいが、競合他社に負けないような強烈な動機形成をしづらい
<よくあるフレーズ>
「私たちの仕事内容は~」
「私たちの目指す姿は~」
「北風アプローチ」の場合、「教える」ことに終始してしまうため、学生に「気付き」を与えることができず、内発的なアクションにはつながらないのです。
また、一方的な講義形式だと、温度感や理解度の違いにより学生を逆に遠ざける可能性があります。
「太陽アプローチ」の説明会
「太陽アプローチ」とは、「北風アプローチ」では生み出すことが難しかった「学生の内発的な気づき」を与えることができます。
太陽が旅人の気分を高め、ここぞとばかりに力を使ったように、説明会の中で学生の学ぶ意欲を高め、最後にここぞとばかりに動機形成をするという目指すべき説明会の姿です。
では具体的にはどのような説明会が「太陽アプローチ」と言えるでしょうか。
<太陽アプローチの説明会例>
■説明会形式
⇒グループワークや講義、座談会などの組み合わせ
■説明会の流れ
1.説明会コンセプトや採用メッセージ(学生に印象付けるメッセージを訴求)
2.グループワーク(学生の主体的な学びを促す)
3.事業の優位性、企業理念とビジョンなどをレクチャー
5.社員座談会(社員と合わせて、企業への興味をさらに高める)
6.採用インフォメーション(求める人物像、研修体系など)
<メリット>
・冒頭に印象的な説明会コンセプトを伝えることで、学生の印象に残りやすい
・学生の学ぶ意欲を掻き立て、主体的に企業の魅力に気付いてもらえる
<デメリット>
・内容が網羅的ではないために、知りたかった情報が知れなかった場合は質問が出たり、不満が残ってしまったりする可能性がある
<よくあるフレーズ>
「(冒頭)弊社は一言でいうと<○○界のパイオニア>です!」
「弊社は、なぜ●●に力を入れてるのでしょうか?皆さんで考えてみてください。」
「●●って何で重要なのでしょうか。その理由を今から解説します。」
「太陽アプローチ」の説明会では、学生自身が主体的に学ぶことで内発的なアクションにつなげることができます。
そのため、説明会後の選考に進むための意欲を高めることができるのです。
まとめ
ここまで「北風アプローチ」の説明会と「太陽アプローチ」の説明会の紹介してきました。
では、企業が心掛けるべき新卒採用説明会の注意点はどこなのでしょうか。
まとめると、以下の3点に集約されます。
1. 一方的な講義だけでなく、学生が自ら考える時間を説明会の中に設ける
2. 自ら考えさせるために、なるべく専門用語や前提知識については丁寧に説明し、理解を促す
3. 印象付けるために、伝えたいことはなるべく少なく、絞って説明する
これらの工夫をすることで、説明会に参加してくれた学生に魅力的に感じてもらいやすくなり、
その後の選考への移行率も高まってくるはずです。
ぜひ心掛けてみてはいかがでしょうか。
河本 英之
シーズアンドグロース株式会社 代表取締役
2005年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社。
採用戦略から組織人事領域に従事し、大手企業から中小企業まで幅広く500社以上の採用・育成コンサルティングを担当。
2010年7月、シーズアンドグロース株式会社を設立。
独自かつフルカスタマイズのプログラム作りで、多くの企業の新卒採用と人材育成を担当。
業界業種・企業規模問わず、数多くの企業様の新卒採用・人材育成をご支援させていただいた経験をもとに、経営者様・人事担当者様のお役に立つ情報をブログにてお届けしていきます。