2018. 07/18
内定承諾率を向上させるための「内定者懇親会」がNGな理由 ~内定承諾率向上に欠かせない「3つの理解」とは~
新卒採用を行う企業からよくご相談をいただく部分として「内定者のフォロー」があります。
「入社後のミスマッチを生みたくない。ただ、売手市場の中で採用数を確保しなければいけない」
というのが採用担当者の本音だと思います。
そんな中、内定承諾率を上げるための内定者フォローの一環として内定者懇親会(飲み会)を行っている企業が多いのが現状です。
しかし、内定者懇親会は内定承諾率を上げるどころか、むしろ辞退を招いてしまうリスクも大きいのです。
今回は、内定者フォローに必要な「3つの理解」を踏まえながら、なぜ内定者懇親会(飲み会)がNGなのかをお伝えします。
内定承諾率を向上させる「3つの理解」とは
内定承諾率向上のための内定者フォローでのポイントは、学生自身が入社を決断できる状態をつくることです。
私たちが様々な企業の新卒採用をお手伝いする中で、学生自身が決断できる状態をつくるためには
以下の「3つの理解」が重要であると分かってきました。
〇自分理解
どの会社へ入社を決断することが正解なのかは誰にもわかりません。
自分理解とは、自分自身の決断が自分らしいかどうかを自分自身で納得するために必要と言えます。
〇同期理解
これから入社する会社に、自分と価値観が似ている・気が合う同期がいるかどうかは、
入社後について不安を持つ内定者にとって重要になりえる要素の一つです。
同期理解とは、自分と似ている人・自分と合う人が同期にいるかどうかを知り、不安を払しょくするために必要と言えます。
〇会社理解
自社の内定者に「なぜうちに決めたの?」と聞くと、おそらく1つか2つの理由を挙げられるのではないでしょうか。
しかし、これでは少し物足りません。わずかな点と点で繋がった線(学生と企業)では簡単に切れてしまいかねません。
つまり、他者の説得により志望度などが容易に変わってしまうのです。
会社理解とは、会社に対して内定者が「複合的な魅力」を感じることであり、ミスマッチや防止可能な内定辞退を起こさないために必要と言えます。
上記の「3つの理解」をすべて高めることがミスマッチや防止可能な内定辞退を生まない内定承諾率向上のポイントと言えるのです。
内定者懇親会(飲み会)がNGな理由
では、なぜ内定者懇親会(飲み会)がNGなのでしょうか。
それは、「3つの理解のいずれも満たせないため」です。
以下のようなケースに心当たりはないでしょうか。
初対面の同期。会社に対する志望度はそれぞれバラバラで、内定承諾者と保留者が混在している。
初対面の先輩社員も数多く招かれ、飲み会が開催された。
飲み会はお酒も入りそれなりに盛り上がったが、飲み会の数日後、辞退連絡が立て続けに届いた。
これは、内定者懇親会(飲み会)後に辞退を決断した内定者が1人出ることで、その後芋づる式に複数の辞退者が出てしまうケースです。
このようなケースになるのは理由があります。
飲み会は、表面上の盛り上がりしか演出できないケースが多く、
内定者同士が連絡先交換などをして繋がってしまう一方で、
表面上の盛り上がりに留まるため、先に述べた3つの理解をどれも果たせないことで、
1人が辞退を決断した際に、「辞退」という負のエネルギーが
内定者同士の連絡ツールを通して連鎖してしまうのです。
まとめ
今回は、内定者フォローのポイントとして「3つの理解」と内定者懇親会(飲み会)がNGな理由をお伝えしました。
「3つの理解」を促すことができる内定承諾率向上のための施策を実施できず、
安易に内定者懇親会と称した飲み会を行う企業が多いのが現状です。
母集団の数を2~3倍にするのは現実的ではない今の時代こそ、
採用成功に近づける道として内定承諾率を上げる戦略を考えてみてはいかがでしょうか。
河本 英之
シーズアンドグロース株式会社 代表取締役
2005年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社。
採用戦略から組織人事領域に従事し、大手企業から中小企業まで幅広く500社以上の採用・育成コンサルティングを担当。
2010年7月、シーズアンドグロース株式会社を設立。
独自かつフルカスタマイズのプログラム作りで、多くの企業の新卒採用と人材育成を担当。
業界業種・企業規模問わず、数多くの企業様の新卒採用・人材育成をご支援させていただいた経験をもとに、経営者様・人事担当者様のお役に立つ情報をブログにてお届けしていきます。